“デジタル”がスポーツビジネスを変える!SNCの培ったノウハウが、お客さまの期待を超えるソリューションを提供する。 “デジタル”がスポーツビジネスを変える!SNCの培ったノウハウが、お客さまの期待を超えるソリューションを提供する。

ソニーネットワークコミュニケーションズ(以下SNC)では、2000年から17年にわたり、鹿島アントラーズFC(以下クラブ)の公式サイトの制作・運用を担当。サイト構築に始まり、運用、サーバー提供によるインフラサポートを行う中で相互の関係性を構築してきた。その実績を背景に、クラブのさらなるビジネス成長をサポートするべくデジタルマーケティング支援を提案。それをステップにした「スマートスタジアム構想」というカシマサッカースタジアムのデジタル化へのコミットも始まっている。
Jリーグにおいて常に圧倒的な強さを維持して高いブランド力を構築し、地域に貢献するスポーツビジネスを展開してきた鹿島アントラーズFC。そのクラブニーズに応えるためにSNCは何に挑戦して新しい価値を提供してきているのか。ソリューション提供に関わった4人のメンバーに、クラブのキーマンである春日氏、土倉氏のお二人を交え、クラブとSNCが挑んでいる「スポーツビジネスの未来」を紹介します。

メンバー

  • 山口 達也
    法人サービス事業部門 ソリューションサービス部 ウェブインテグレーション1課
    チーフ 2007年入社
    当社開発のサッカークラブ専用の情報配信システム・サッカークラウドシステム全般の運用を担当。鹿島アントラーズFCには、2013年からソリューション全体のプロデューサとして着任。
  • 鈴木 直樹
    法人サービス事業部門ソリューションサービス部ウェブインテグレーション3課
    課長 1999年入社
    法人事業におけるデジタルマーケティングチームのマネージメントを担当。当プロジェクトには2015年からデジタルマーケティングコンサルタントとして、プロジェクトマネジメントとプランニング・分析業務担当として従事。
  • 西野 友規子
    法人サービス事業部門 ソリューションサービス部 ウェブインテグレーション3課
    ディレクター 2017年入社
    外資系製薬会社のブランドサイト運営、製薬会社主催の助成プログラムサイト構築などを担当。
    当プロジェクトには2017年から主に分析業務および施策立案、UI/UX担当として従事。
  • 多田 雄二
    法人サービス事業部門ソリューションサービス部システムインテグレーション1課
    チーフエンジニア 2013年入社
    大手レコード会社向けアーティスト公式アプリの開発、保守・運用、外資アパレルブランドCRMシステムの開発、保守・運用などを担当。
    当プロジェクトでは公式サイトのシステムの保守・運用、『Antlers Wi-Fi Portal』のファンクラブ限定コンテンツの会員認証システムの構築担当として従事。
  • 春日 洋平
    鹿島アントラーズFC 事業部・マーケティンググループ
    マーケティンググループ長 2011年入社
    鹿島アントラーズFC(以下クラブ)側の窓口として、デジタルマーケティングプロジェクト全体をプロデュース。デジタルビジョンの策定、ROI管理、費用対効果のトラッキングなどを担当。
  • 土倉 幸司
    鹿島アントラーズFC事業部・マーケティンググループ
    事業戦略担当チーフ 2016年入社
    スマートスタジアム化のプロジェクトリーダーとして、スタジアム高密度Wi-Fiの導入や、スタジアムで楽しめるポータル『Antlers Wi-Fi Portal』の企画・運営、マッチデーイベントの実行などを担当。

プロジェクト座談会

KPIによるデジタルマーケティングでクラブの収益に貢献する

Q そもそも、SNCが提供しているデジタルマーケティングのソリューションはどんなきっかけから始まったのでしょうか?

春日:公式サイトの運営で接点のあった山口さんから、公式サイトのボトルネックについて指摘をいただき、最適なプラットフォームを提供していくために、デジタルマーケティングへの本格的な取り組みをご提案いただいたのがきっかけですね。
山口:クラブの収益貢献のための公式サイトだったのですが、さまざまな施策やプロモーションの結果が、どう貢献しているのか定量的な評価がされていませんでした。肌感覚ではなく具体的な数字を設定し、施策展開とその効果分析を行うKPIの手法を取り入れて、安定的に公式サイトを運用するだけではなく、成果を提供していく段階だと考えたのです。
鈴木:デジタルマーケティングが利益貢献につながるとはどういうことか、どうすれば数字が向上するのか、腹落ちしてもらうために「デジタルとは何か」から役員の皆さまに説明。データの可視化の手法や、ボトルネック分析のためのABテスト手法など、当社にあるナレッジを伝え、利益貢献につながるデジタルマーケティングの導入をクラブに提案しました。
山口:まずはPV(ページビュー)や会員数など基本指標における年間KPIを策定し、目標をめざすトライアルを2013年から始めました。
鈴木:最初に行ったのは、ABテストによるチケット購買につながる導線設計の検証、そしてアクセスされたエリアをセグメントしたデータの可視化による事実の把握です。例えばクラブのブランド力を肌感覚で捉えるのでなく実際にデータ分析にかけると、首都圏からのトラフィックが高いという数字が出た。事実を可視化することで、論理的に東京エリアだけで展開するコンテンツに効果があると考えられるわけです。こうしたトライアルを通して、クラブ内にデジタルマーケティングの効果を浸透させていったのです。
春日:チケット販売の向上など売上が大きく伸び、最初から手応えがありました。可視化・数値化によって、ロジカルな判断ができる。「収益に直結する数字をトラッキングしたい」という我々のニーズに、この公式サイトの費用対効果を図れる的確なKPIを設定していただきました。そして公式サイト経由のチケットとマーチャンダイズ売上の20%向上という明確なゴールを設定したデジタルマーケティングの施策が始まったのです。
鈴木:施策を“点”で考え検証するのではなく、上から俯瞰してゴールへの最適化を見渡し検証していくことが重要です。毎週行われる試合ごとに、“面”で想定したさまざまな施策のトライアルを行える状況が生まれ、目標の20%向上への貢献は十分可能だと感じていました。
山口:決められた予算の中で、最高のパフォーマンスを出すことが当社の使命です。結果を伴わなければ継続した支援を続けることができません。プロモーション施策が成果を出し、サイトへのアクセス数が増加することで、今度は運用面でのサイト負荷の増大という課題がクローズアップされるようになりました。
多田:サイトが最適化されたことによるアクセス数増加や、2015年頃からスマートフォンによるトラフィックが急増するなどの環境変化で、データベースへのアクセスが集中するようになりました。そこで山口と連携して根本的なデータベースの見直しを提案しました。そのチューニングのために当社内のスペシャリストを巻き込み、データアクセス設計の改善を実行。サーバーのスペックを制御するアーキテクチャの導入で集中アクセスにも対応できる構成とし、劇的な効果をもたらせたと自負しています。
山口:またアクセス数の増加によって、より細かい分析と改善も必要となりました。増加したさまざまな属性のトラフィックにおけるサイト内の行動履歴をいかに把握するのか、どうすればより効率的にチケット購入へのタッチポイントをつくり出せるのか……。
西野:この時は、効果を検証するためにデイリー単位でバナーを追加し、UI(ユーザーインターフェース)/UX(ユーザーエクスペリエンス)を作り替えるなど、さまざまなトライアルを行いました。トラフィック量が大きく試合数も多いサッカーは、他のマーケティングサイトと違ってデイリー単位の変更でどんどん検証数字が変わり、良し悪しがすぐに読み取れます。こうした“次の一手”を探していく面白さがあります。
春日:結果を踏まえて数字を伸ばす目的と常に私たちは向き合っているわけですが、システムインテグレーターは往々にして手法・手段が目的になりがちです。SNCの皆さんは「何のためにこのプロジェクトをやるのか」を深く理解していただき、提案が的外れになることはなかった。そこは大変満足しています。

新たな観戦スタイルを生み出すスマートスタジアム化へのチャレンジ

Q 公式サイトを入口にしたデジタルマーケティングよってチケット購入のパフォーマンスが上がれば、スタジアム来場者も増えていきます。公式サイトのパワーアップをステップとして、次はスタジアムでも新しいデジタル体験を提供しようというのがスマートスタジアム化のきっかけだとうかがっていますが……。

土倉:Jリーグの中でスマートスタジアム構想が立ち上がり、実現のために戦略的な投資をしていく段階を迎えていました。そこでデジタルマーケティングなど、もっとも積極的に“デジタル”に取り組む鹿島アントラーズでスマートスタジアム化の実行をしています。そこで山口さんと、スマートスタジアム化のプロジェクトが始まったのです。
山口:カシマスタジアムへの高密度Wi-Fiの導入が1つのポイントでした。観戦に来るファン層も老若男女、そしてコアファン層からリピーター層などさまざまです。多くのファンに使いやすく『Antlers Wi-Fi Portal』へのアクセスを促すものでなければなりません。
多田:お子さんからお年寄りまでを単にファンという一言で括ることはできません。最初はファンクラブ会員データベースと連携し、年齢層やコアファン層、リピーター層などの属性の違いによってコンテンツを切り替え、限定配信ができるかというトライアル案が浮上しました。その時、システム担当として気になったのはサーバーの負荷でしたが、綿密なシミュレーションを行い、その検証結果とこれまでの経験・ノウハウからかかる負荷を予測しクリアできると判断。構築の難易度は高かったですが、やりきれたことが自信になりました。
鈴木:『Antlers Wi-Fi Portal』は、可視化の手法で効果分析を行っています。例えばヒートマップによる解析。色分けによって訪問数の多い企画は何なのかを判断し、弱い部分を補強する……という具合ですね。
西野:ヒートマップの反応が少ない試合があり、なぜなのか調べると単純に雨だったんです。そういった外部要因の影響とも密に関わり、ユーザーとサービスサイトのリアルな反応を追い続けて分析できる現場は多くありません。日々新しい知見が吸収できます。
土倉:コンセプトはデジタルを活かしてお客さまにサッカー観戦を楽しんでもらうこと。そのためには、スタジアムに来る前段階から布石を打ち、公式サイト、チケット購入からの連続したストーリーを意識して、デジタル化によるスタジアム観戦を楽しんでもらう。そのことを意識してSNCに取り組んでもらいました。
山口:そこで重要なことは、常に可視化・数値化した事実に基づくPDCAサイクルを回して、検証・改善をできるだけ高速に繰り返すことです。
土倉:そうですね。3週連続で週末にホームゲームを開催した時などは、週明けを待っていたら、次に活かせるPDCAサイクルが回らないわけです。
西野:これだけ高速でPDCAサイクルを回すのは簡単なことではありませんが、分析や解析もシステム化の基盤を初期につくってあるので数字がすぐに出せる。そして次は、という動きにも即座に対応していけます。
土倉:おかげで試合終了後にその場でアクセス状況の速報値の数字を確認し、効果を分析して次の施策を話し合えるので、週明けには対策を決定して次に活かすことができていましたね。
鈴木:2017年は、クラブとこうしたトライアルを重ね、UI/UXを改善し、ワクワクしてストレスのない仕掛けを模索しながら走ってきた1年でした。ユーザーの環境がスマートフォン中心にシフトしていく中で、どのようなカスタマージャーニーを想定してリアルな観戦体験をアップグレードしていけるのかがポイントですね。
土倉:そのカスタマージャーニーを、スタジアムに行く前から発想し、デジタルマッチデープログラムの配信や、「360度シートビュー」で入場前に観戦ポジションがわかり、更に入場後の席のチェンジだってデジタルで解決できるはずです。2018年はスマートスタジアム化のPhase2。より本格的に、リアルな課題をデジタルで解決して利便性向上を図っていきたいですね。

スピーディなソリューション提供の鍵は“相互理解”に基づく信頼関係

Q それぞれのソリューションがかなりのスピードで提供されています。なぜそれが可能なのでしょうか?

山口:私自身、クラブのメディアチームの一員としてクラブに席を用意していただき、常駐に近い形で仕事をしています。そこで感じるのは、このクラブの皆さんは本当にクレバーで決断が早いこと。
短いサイクルでスピーディにPDCAを回すには、普通は承認に時間がかかるのですが、そこが早い。
春日:我々マーケティングだけではなく、セールス、スタジアムの各チームそれぞれの課題やテーマは何か、週一のチームミーティングで山口さんが常に全体像を把握してくれています。そして実績に基づく信頼関係がある。その背景には最初にも話した、SNCの皆さんの目的の理解がある。これは大きい。その相互理解に基づく信頼関係なので、PDCAの運用などはSNCの皆さんに安心してお任せできるのです。
土倉:スマートスタジアム化の場面でも、お客さま目線での提案があります。例えばテーマパークをベンチマークして提案してくれるなど、スマートスタジアム化が何をめざしているのかが分かっているからこそ。やはりそこにも深い相互理解があるんです。
山口:クラブの方の情熱とスタジアム、ファン、サポーターの熱気を実際に感じて、地元ホームタウンに貢献しているクラブのために何ができるかを常に考えています。そして試合を観戦し、クラブの経営やビジョンを踏まえ、クラブビジネスの成功に最適なソリューションを提供する事が我々の役目です。
多田:なによりサッカーが好きな人にとって、これだけサッカーに深くコミットできる仕事ってちょっとないですよ。
西野:実は私は、これまであまりサッカーを知らなかったんです……。でも、今はどんどんディープな理解が進んでいます。それに鹿島アントラーズの選手は、皆さんかっこいい(笑)。
春日:サッカーを知らなくてもいいんです。クラブの哲学に共感し、それにどう応えるかを考えていただければそれで十分です。フットボールクラブは、チケットやユニフォームといったアイテムを売っているわけではなく、「サッカーが生活の一部にあるライフスタイル」を提供しています。また、Jリーグでは本拠地から30キロ圏が各クラブのコアマーケットと定義されていますが、リーグ最小規模の商圏で人々を魅了し、遠く離れた首都圏からも集客するためには、常に「強いクラブ」であり続けることが肝心。だからこそ、我々は「すべては勝利のために」という理念のもとで、クラブを運営している。そういった哲学を理解し、同じモノサシを持ってプロジェクトを進めていけることが大切なんです。

より進化・深化したサービス提供のために

Q 今後のデジタル展開への期待や意気込みをお聞かせください。

春日:デジマ施策については、SNCのコンサルティングのもと過去3年間である程度公式サイトのデザインや導線を最適化することができました。次のステップとしては、より確度の高いターゲティングや各ユーザーとOne to Oneの関係性を構築することが重要です。公式サイトを訪れたお客さま1人ひとりに最適な商品・イベント訴求を提供できるようになれば、更なる収益効果が期待できます。
土倉:スマートスタジアム化では、SNCだけでなくいろいろなパートナーとのコンソーシアムを考えています。
そうした新たな座組みをJリーグとも議論していますが、その現場にもSNCのメンバと一緒に話をさせてもらっています。関係者を巻き込んでネットワークをさらに広げていきたいですね。
鈴木:So-netのサイト運用のナレッジに加え、当社の別のクライアントの自動車・製薬業界での経験則など、培った知見を活かしてまだまだ多くの貢献をアントラーズにしていけると考えています。アイデアはまだまだ尽きることがありません。それらをロジカルに判断して効果的に投入していきたいですね。
山口:“ロジカル”はこのプロジェクトの大前提です。春日さん、土倉さんのお二人がそもそも論理的で、常にシャープな提案を求めてきますからね。なおかつ、スポーツビジネス特有の“熱い想い”もぶつけてくる。私たちSNCにとって、本当に貴重で大きな財産となるプロジェクトだと感じています。
土倉:スポーツというと“熱い想い”に走りがちですが、論理的思考と両方必要です。そうすると、頑張るだけではなくやはり結果を見ていく。想定と異なる数値や期待値と違う結果にはガンガン突っ込ませてもらいます。そして議論し、とことん細かくデータを精査してより良い施策へとつなげていく。お客さまの真の満足度の向上をめざすために、これまで以上にリクエストしていきたいですね。なぜならSNCの皆さんは、すでに仕事の取引先ではなく、クラブのタイトル獲得に貢献するための“アントラーズファミリー”、その強力な一員なのですから。皆さんはこれまで常に私たちのリクエストに応えるだけでなく、それを超える提案をしてきてくれました。これからも期待を超えるソリューションのプロとして一緒に走っていきたいですね。
SNC一同:期待を超えられるよう頑張っていきます。本日はありがとうございました。

学生の皆さんへのメッセージ

Q もしチームに新人メンバーを加えるとしたら、
どんな人材に期待しますか?

  • 山口 達也
    ビジネスを推進していく中で、目的・本質をしっかりと捉え、それをやりきる、というマインドを持っている方、期待しています!
  • 鈴木 直樹
    自分で課題を見つけて行動してきた方、夢を語るだけでなく自らアクション起せる方、それがこの仕事には必要です!
  • 西野 友規子
    行動を振り返れる人ですね。(その行動は)なぜ?どうして?何をした?ということがちゃんと押さえられる人。さらに「論理的にガッツ」な人。知的で行動的な方、お待ちしています!
  • 多田 雄二
    失敗やトラブルはつきものです。それを客観的に見つめて改善していける態度が必要です。自信のある方はぜひ!